身体や精神に障害のある人に、リハビリを通して身体の機能回復を目指す専門職があります。
理学療法士は、動かない患部に働きかけることで動作能力の回復訓練を行うものですが、作業療法士は、動くことは動くが細かな動作には至らないという人に特殊訓練で回復をさせる仕事なのです。従って、この二つの専門職は同じのようですが、障害を受けた患者さんにとっては、精神的な苦痛に大きな差があります。
例えば、何らかの病で突然身体が麻痺や萎縮をしてしまい自由が利かなくなると、リハビリテーションに通い電気や温熱などから、筋肉の萎縮を緩和する治療員が理学療法士なのです。全く動かなくなった半身などを、日々の訓練で回復を試みるのですが、この訓練は比較的効果が早く表れます。動かなかった腕が少しでも自分の意志で動くと、やりがいを見出し希望が湧いてくることでしょう。ところが、ある一定の動作回復まで達すると、そこから回復が止まってしまいます。そこで登場するのが作業療法士です。腕は動くが箸を持てない、歯ブラシを持てないので日常生活に戻れないといった症状の人たちを訓練させるのが仕事となります。
訓練は理学も作業も同じように見えますが、目的が違うので方法が変わってきます。食事や着替えなどの日常機能訓練のほかに、陶芸や音楽演奏など手先を使うことで回復を目指していくようです。患者さんは、自由にできたことができない苛立ちで精神的にパニック状態になる人が多いようです。作業療法士の仕事は、個別に興味のあること、得意だったことなどを聞き出し、作業に置き換えるということを日々行っているようです。